2024-08-04

オランダで電動自転車と自転車道を無免許で走れる超小型車cantaカンタの類似車を購入・運転する方法

 オランダ、特にアムステルダムを歩いていると下記のような赤やグレーの小さな車が自転車道を轟音と共に走っているのをよく見かけます。

我が家はAmstelveen市内でトラムは徒歩5分ほどで利用可能ですが、最寄りのバス停までは15分ほどかかり、日々の移動は日本から持参した車輪の小さい子ども乗せ自転車とオランダで購入した電動の自転車に子ども乗せシートを取り付けたものの2台で頑張っていました。

Amstelveenで子どもの学校や習い事などを制限なくしようとすると、10kmの移動は平気である中で、車がないと厳しいのが正直なところです。しかし、旦那さんの会社からの貸与車を使えるご家庭もあれば、貸与車はなく自分たちで1台用意するご家庭、2台目をリースか購入する必要があるご家庭など、いろいろ事情があります。その他、海外での運転に対する不安、特に小さな子どもを乗せての運転は避けたいという声も聞きます。

我が家は夫の会社からの貸与車は使えない状況で、2台目を持っても、夏休みなどで1年の3〜4か月は使わない時期があることから、自転車とトラムを使って移動していました。

日本の子ども乗せ自転車はとても乗りやすいのですが、車輪が小さいので、遠方には向かず、途中で電動自転車Elektrische fietsenを購入したのですが、安いものでも2000ユーロほど、子ども乗せシートは100ユーロほどの出費になります。
Amstelveenにも自転車店は多数ありますので、そこでいい自転車を見つけられるといいですが(sportlaan近くのfietsvoordeelshopが全国にお店もあり大きめでおすすめです)、低身長の私には大きいものが多く、オンラインで探すことにしました。オンラインで探す場合、タイヤのサイズやハンドブレーキが付いているかを書いていないものが多いので、注意してください。

我が家は最終的にアメリカが本社のRad Power Bikes(現在この会社はヨーロッパでの販売を中止中)という自分で組み立てるものを購入しました。オンラインでも近くの提携店で試乗ができ、運転に問題がなかったためです。ただ購入時から1年経ちましたが、部品欠損などで、2度、アメリカから部品を送ってもらっています。試乗でお世話になった提携店に修理でもお世話になりました。日本の自転車のようにはいきません。
もう一つオンラインで割と手頃に購入できるのはstellaです。家に試乗用の自転車を持ってきてくれます。

日本ではバイク扱いのタイヤの太いファットバイクはタイヤが小さいので検討しましたが、自転車と乗り心地が違う点や、今後、自転車道を走れなくなる可能性もあるという話も聞き、やめにしました。

購入した電動自転車で夏場は7kmのほどの学校も気持ちよく行けていましたが、冬に差し掛かってくると、強風、雨などの日が多くなり、2台分の子ども乗せシートのカバーを購入することに。大久保製作所のカバーは少しお値段張りますが、海外の子どものせシートにもぴったりで、とても暖かく過ごせるようで、子どもも気に入っています。現地のママさんからも何度か、これいいね!どこで買えるの?と聞かれています。一緒に買った日本の子どものせ自転車のカバーもとても便利です。

雨はまだいいのですが、オランダの風は強風でバランスを崩して転倒する日も増えてきました。オランダは天気予報で風が強い日には定期的に警報が出ます。黄色、オレンジ、赤の順で危険度が上がるのですが、週に数回黄色が出る日もあり、自転車の移動が難しくなってしまいました。

移転車の後ろで牽引する形の子どものせも検討したのですが、子どもは安全になりますが、大人は悪天候から身を守れないので、前から目をつけていた自転車道を無免許で走れる超小型車cantaカンタの購入を検討し始めました。

オランダの法律を確認して、cantaや類似車gehandicaptenvoertuig met motor(エンジン付き障がい者車両)を、近郊で購入できる店に片っ端から連絡をしました。
cantaはもともと障がい者や高齢者の方の移動を助けるためにオランダの会社が開発した車だそう。正規品は1台20000ユーロ近くです。ただ、アムステルダムを見れば分かる通り、現在、年齢や障害の有無問わず、多くの方が自転車やバイクの代わりにcantaを利用しており、法律にも健常者が運転してもいいと明示されています。

※同じような小さめの黒い車も走っていますが、こちらは原付免許がないと運転できない原付車brommobielenに区分され、自転車道は基本は走れません。お値段は車と比べれば手頃で、車の代わりに購入される場合にはいいかもしれません。こちらも少し調べていたので、有名どころのメーカーを挙げておきます。

話をcantaに戻します。当初、リースも検討していたのですが、割高になるので帰国時に売れることを確認して購入することに。正規品には手が出ないので、同じ条件の小型車を扱っているディーラーに辿り着き、購入を決めました。電動でリチウム電池搭載、速度は25kmか45km選べ、4時間充電で50km走ります。お値段が7500ユーロほど。保険は年間300ユーロほどです。

オランダでよく走っている前に大きなカゴかついた子どものせ自転車が4000〜7000ユーロするので、それに比べたら小型車の方が便利かと思い決断しました。

ただ、12月に購入予約を入れて以降、日本では体験しないようなトラブルが多々発生してしまいました。
まず、車はすべて中国の会社からの輸入品なのですが、1月上旬到着予定が、1月末になり、2月になり、とどんどん遅れてしまい、かなりヤキモキしました。
到着時に一時帰国と重なり、4月の受け取りをお願いして了承ももらったのに、他の人に売ったと言われ、最終的に手元に届いたのは5月。
さらに、保険の住所の間違い、1台に2つの保険をかけられるなど、散々です。ミスなので、一ヶ月後には住所変更、1台分の保険の解約はできたのですが、全部オランダ語でチンプンカンプン。翻訳アプリも契約書系はなかなかうまく訳してくれないのでした。

小型車が手元に届き、チャイルドシートも設置できたので、何度か練習して、子どもの学校までは通えるようになりました。一応、日本の免許は持っているので、教習所以来の十数年ぶりの運転でしたが、体が覚えていたようです。

運転も慣れてきた頃、今度は異音がしてくるように。さらに、運送の都合上、届いた車には鉛電池(仮のものらしい...)が搭載されており、リチウム(正規のもの)に変更する必要があるとのことで(先に言ってよ!)、一度修理に出したところ、モニターに表示されていたバッテリー残量が反応しなくなってしまい、再度修理。しかし修理はうまくいかず、正常稼働には中国からの部品が必要だそうで、今は手元の走行距離メーターを目安に充電タイミングを測っております。

駐在員は家や車など大きな買い物は日系の会社に依頼し、トラブルに巻き込まれないようになっていますが、そこを飛び越えて、駐在員が地元の会社と対等に大きな買い物をするのはなかなか難しいなと感じる今日この頃です。

それでも、この車を買ったことで、雨の日の風の日も子どもも自分も安心して移動できるようになり良かったと思います。

最後に。そもそもこんな買い物をしなくても生活できる、バスもトラムも使いやすい場所に住めればいいのですが、住宅難の今、なかなかそうもいきません。住んでみてわかったことですが、Amstelveenはトラムで南北の移動はできますが、東西の移動はできません。またヘルダーランド、スタッツハルト、スポルトラーン、ウェストバイクなどの主要なショッピングモールへの移動は、住んでいる場所にもよりますが、バスの方が本数も多く、便利な場合が多いので、最後、どこに住むか迷われたら、トラムよりもバス移動で便利な場所を選ばれるといいのかなと思います。トラムは10分に1本で運休も多いですが、バスの主要路線はもっと本数が多いです。google mapなどで経路検索するとすぐ出てきます。

参考までにAmstelveen周辺の学校など主要施設の所在地も載せておきます。